日本の農業で世界へ~起業の記録~

京都大学農学部卒業、外資戦略コンサル、ITベンチャー役員を経て、製菓会社の社長として経営再建を経験。現在、米国バブソンMBA留学中、2016年6月D-matcha株式会社(https://dmatcha.jp/)を設立。

MBA留学⑦ ~日本の英語教育への危機感、英語力の向上法(後編)~

同じ日本人でも私より英語の出来る人は沢山いると思うが、私がやって良かったと思うことについて共有できたらと思う。
英語を学ぶうえで大事なのは、継続して量をこなすということと、それを楽しみながら続ける、という当たり前のことを実行することだと思う。 

TOEFLとTOEIC 

海外の大学院や大学に入る場合、TOEFLという英語のテストを受けることになる。TOEFL(iBT)は、Reading, Listening, Speaking, Writingの4セクションから構成され、受験時間が4時間にも及ぶテストである。アメリカの上位MBAを受ける場合、各セクション30点満点の合計120点満点中、100点が足切りのラインとなる。Harvard MBAでは足切りが109点だ。 私の場合、留学前に5ヵ月間TOEFLの勉強をして、102点(Reading23, Listning28, Speaking26, Writing25)というスコアを取った。留学を真剣に検討される方は、もっと前から準備を行うことを強くオススメする。

ちなみに、このTOEFLであるが、日本人「受験者」の平均点は、71点であり、アジア31国中下から数えて5番目である。上位の国はオランダが100点、シンガポールが97点で、その他スウェーデンなどの北欧諸国が95点前後と高得点である。日本の71点というのは、留学を視野にいれて高額の受験料を払って受けている人の平均点なので、日本人全体の平均はもっと低いと思われる。
私も、MBA留学を考えてから初めてTOEFLを受けたが、そのときの感想は、「もう二度とうけたくない、、難しい、、長い、、」であった。TOEFLはTOEICと比べて極めて実践的で、英語力を総合的に判断する優れた試験だ。TOEICとTOEFLの対比はネットなどでもたくさんでているが、私はTOEICで915点という得点を取っていたが、最初に受けたTOEFLは75点だった。TOEICよりはるかに難しいのがTOEFLであり、そのTOEFLで非英語圏の外国人は日本人より遥かに高い点を取っている。

Listening~ NHKラジオ講座、好きな海外の番組・映画を見る~

私の場合、英語のリスニングが中学生の時からとても得意だった。それを紐とくと、中学時代に父親にすすめられて始めたNHKのラジオ講座を真面目に毎日やっていたこと、WWF(現在、WWE、アメリカのプロレス団体)が好きでかなりテレビ番組を英語で聞いていたことが良かったのではないかと思う。
NHKラジオ講座は安い上に内容も秀逸で、複数の講座を毎日受講したことでかなり耳を鍛えることができた。やはりリスニングは毎日やることと「集中して」量をこなすことが必要だと思う。非英語圏で耳の良いMBAの学生と話していて思うのは、彼らは、幼い時から英語圏のテレビや映画が大好きで良く見ており、アメリカ人とその内容で盛り上がるくらい良く知っている(日本人で言うと、日本人同士でスラムダンクやドラゴンボールの懐かしい話をするような感覚で、アメリカ人と非英語圏の学生たちがアメリカのアニメやコメディの話題で盛り上がっている)。好きなものを集中して英語で聞いているため、耳がかなり鍛えられているのだと思う。自分でやってみても思うが、字幕無しで英語の映画やテレビを見ると力が付く。  

Speaking ~オンライン英会話~

Speakingを向上させるにはとにかく量をこなすことが大事だ。最初のうちは、文法や発音がめちゃくちゃでも、とにかく文章を話そう、つなげようとしていくなかで、すらすらと出てくるようになる。日本人にありがちな、文法や単語を間違って恥ずかしい思いをしたくない、といったシャイなスタンスではスキルが向上しない。間違いを恐れずとにかく話すことだ。
従前私も通っていたが、英会話スクールは時間あたりの費用が高く、英語力を伸ばすにはお金がとてもかかって、気軽に量をこなすことが難しい。日本にいて量をこなすのならば、オンライン英会話サービスのRarejobは素晴らしいサービスだと思う。
 
かなりサービスの初期から使用させて頂いているが、値段が大変リーズナブルだ。月5,000yenくらいで毎日30分は喋ることができる。授業内容も自分で決めることができるので使い勝手がよい。フィリピンの優秀な大学生と話すことができるので、会話の内容自体も面白い。また、発音の教材もあるので、その教材に沿ってレッスンを行う中で、日本の学校では教えてくれないような顎・口・舌の使い方を知ることもできる。rarejob創業者の日本人の英語力を向上させたい、という熱意http://ameblo.jp/netpipeline/ と、skypeを用いた素晴らしいビジネスモデルで、このようなサービスを提供しているRarejobには本当に脱帽だ。
現在は、rarejob意外にも多くのオンライン英会話サービスがあると思うので、いくつか比較して自分に合うプランを提供しているサービスを選ぶのも良いかもしれない。

Reading~海外のメディアに触れる~

何段階かあると思うのだが、まずは最低限の単語力が必要だ。私がTOEFLのスコアがイマイチ伸び悩んだ要因のひとつは、単語を覚えるのが大嫌いだったことも関係していると思う。その上で、economistやnewyork timesなど海外の記事を習慣的に読むと良いと思う。最初は英語を読むことが面倒だと思っていたが、興味深い情報を得られると読むのが楽しくなる。私も、バブソンMBAで大量のケース教材を読む中で、ある時期から英語を読む面倒さに対して得られる情報の興味が勝り、読むスピードが速くなったと思う。

Writing ~ネイティブに添削してもらうのがベスト~

日本人は英語教育の中で、文法についてはある程度しっかり身に着くので、あとは英語としてナチュラルな表現をできるようになることが必要だ。一番力が付くのは、自分が書いた内容をnativeに添削してもらう方法だと思う。私の場合、グループプロジェクトで率先して文章を書き、それをnativeのチームメイトに直して貰った時、よりnaturalな言い回しなどを学ぶことが多い。例えば、簡単な例だと、~ついて、と書く時about~と書いていたのをRegarding with~と直して貰ったように。自分で文章を書くと、outputの速度は早くなるし、自分で書いた文章に赤が入るので直し方にも注意がいくので、良いと思う。 

英語での情報収集 

英語で情報収集するようになると、得られる情報量や多角的な示唆など恩恵は非常に大きいと思う。例えば、economistなどの記事ひとつとっても日本のメディアではあまり取り上げられないような地域の情報も手に入るし、日本がどう海外から見られているかもわかる。クラウドファンディングサイトのkickstarter https://www.kickstarter.com/?ref=navを定期的にみるだけでも新しい商品アイデアなどが見れて面白い。
 
同じ事象でもメディアによって取り上げかたが異なって興味深かった例をあげると、セブンイレブンの鈴木会長が退任した際の記事だ。WSJは、ファンドの視点・立場から記事で書かれているし http://www.wsj.com/articles/7-eleven-chief-resigns-as-hedge-fund-prevails-in-japan-boardroom-fight-1460019140、Fortuneは鈴木会長の引き際の潔さ良さに焦点を当てて記事を書いている、http://fortune.com/2016/04/07/7-eleven-ceo-resignation/?xid=soc_socialflow_facebook_FORTUNE
日経新聞の場合、http://www.nikkei.com/article/DGXLZO99416500X00C16A4TJC000/創業家の影響力の話が中心となっている。興味のある記事の場合、複数メディアを調べるとより事象に対して多角的な視野で捉えることができる。
海外でしか無いsoft wareなどにもアクセスができるようになるし、仕事の能率を高める機会が増えると実感している。 
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