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日本の農業で世界へ~起業の記録~

京都大学農学部卒業、外資戦略コンサル、ITベンチャー役員を経て、製菓会社の社長として経営再建を経験。現在、米国バブソンMBA留学中、2016年6月D-matcha株式会社(https://dmatcha.jp/)を設立。

経営再建⑬ ~販売施策の失敗(前編)~

経営再建

売上を向上させるというのは、思った以上に非常に難しいものだった。自分で良かれと思って行った施策も裏目に出ることもある。以下は、自分が行った施策の中でも、学びの大きかったものの一つだ。

 

新規店舗の売上 

一斉に出店を行ったのち、どこの店舗も初月は快調だった。予算も大きく超え、発注数が足りなくてデベロッパーから怒られるなど、嬉しい限りだった。
しかし、翌月5月も後半にさしかかったころには売上が落ち始めた。最初は、気温の上昇による低下(菓子はアイスなどを除き、熱い時には売上が下がり寒い時には売上が上がる季節商品)、あるいは開店景気が終わっただけだろうと考えていた。しかし、6月に入り梅雨に入っても売上の低下が一向におさまらない。ついに予算で組んでいた売上を下回り、損益分岐をも下回り始めた。
出店は決して成功とはいえなかった。売上向上策の実施を急ぐこととなる。
 

リピート率の低さ

顧客の動向を観察していると、リピート率の低さが売上低迷の原因であることは自明だった。
そもそも買収前に当該ブランドの経営が傾いた根本的な原因がリピート率の低さによる既存店売上の減少にあるということは、買収時点でもある程度認識していた。当初のプランでは、全社のコスト削減を行った後に、既存店の売上向上施策に腰を据えて取り組む予定だった。
しかし、既存店舗がすべて無くなり、急いで発掘してきた新規立地に出店したため、店舗の立地条件は従前よりも悪化していた。そうなると、リピート率の低さに起因する売上への悪影響が前よりも顕著に表れてきたのだった。
 
ともかく出店した以上は、一刻も早く手を売って売上を回復させ、損益分岐を超えなければならない。
社員と売上低迷の原因について議論を交わしても、判然とした答えは出てこなかった。社員自身がお客様のことを理解できていなかったとも言える。
そこで、リピート率を上げ、売上向上施策を立案するためのヒントを得るため、お客様へのアンケートを実施することにした。
 

お客様へのアンケート

お客様に実施したアンケートの回答で共通していたのは、「高すぎる」、「甘すぎる」、「大きすぎる」といったメッセージだった。このアンケートを元にその後、売上施策を幾つか考えていくことになる。
お客様の意見は非常に大切だ。その意見の中に、経営を改善するヒントがちりばめられている。しかし、その意見を短絡的にそのまま聞き入れることが、正しい経営判断に繋がるとは限らない。
 

売上施策~サイズ・価格の変更~ 

私個人の意見としても、競合と比較して値段が高すぎると感じていた。NYの店舗では高い値段で販売されているのだが、日本の小売業は、競合が多く、安くてそれなりの品質で商品を提供するブランドがたくさんある。競合との比較でお客様が割高に感じてしまうのも無理はなかった。
消費の価格を変更するとき、非常に慎重な判断が求められる。
当該会社の場合、現状で商品あたりの利益がでていないのにも関わらず、単純な値引きをすると、利益率の低下を招くだけでなく、お客様にとっても「材料を悪くしたのではないか?手を抜いたのではないか?」とブランドしての信頼を落としかねないリスクがあった。
そこで考えたのが、サイズを小さくしてその分値段を25%程度低下させるという施策だ。商品の単価は低くなるが、その分買いやすさが増し、お客様1人あたりが買う個数が増えて結果として売上が向上することを狙っての改良だった。
加えて、NYで売られていたが、日本では未だ販売していなかった新商品を投入することにした。新商品についてもNYよりもさらに小さい商品規格へと変更し、日本人にあうようにカスタマイズした。特に主要顧客であった20代~40代の女性に対して、1口サイズで様々な種類を御客様が楽しめるような商品展開を実施した。
製造委託先に対してもこの件を了承してもらい、メディアへのプレスも活用したうえでプロモーションを展開した。 
私としては、お客様が挙げていた不満「高すぎる」「大きすぎる」という2つの不満を解消したので、これは大いに期待ができると意気込んだ。
 
(C)2016 daikimatcha

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