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日本の農業で世界へ~起業の記録~

京都大学農学部卒業、外資戦略コンサル、ITベンチャー役員を経て、製菓会社の社長として経営再建を経験。現在、米国バブソンMBA留学中、2016年6月D-matcha株式会社(https://dmatcha.jp/)を設立。

経営再建⑮ ~裁判出廷(前編)~

経営再建

2度目の訴訟

会社を経営している間に2度も訴えられることになるとは思ってなかった。
前回は、国税から旧会社への差押え通知であり、国税と当社で旧会社の資産を巡り争ったのだったが、今回は、旧会社の複数の債権者達が、我々新会社を訴えてきた。
もちろん我々は法を犯してなどいない。旧会社の債権者に対する不誠実が招いたことだった。
2度にわたる裁判を経験し、私は人として誠実であることの重要さを強く認識した。
 

詐害行為

民法424条の詐害行為取消権を根拠として、債権者は新会社を訴えてきた。
詐害行為取消権とは、「債権者は、債務者が債権者を害することを知ってした法律行為の取消しを裁判所に請求することができる。ただし、その行為によって利益を受けた者又は転得者がその行為又は転得の時において債権者を害すべき事実を知らなかったときは、この限りでない。」wikipediaからの引用だ。
簡単に言うと、旧会社の債権者は、我々新会社と旧会社がグルになり、意図的に資産部分だけを新会社へと切り分け、新会社が不当な利益を得ている、と主張していた。
後から解ったことだが、債権者は訴訟を起こした時点で、旧会社から全く説明を受けていなかったため、新会社設立の経緯も理解していなかった。
彼らは自分たちの債権(多くは売掛金だったと記憶している)を回収しようと思ったところ、いつの間にか売掛先である旧会社からは資産がほとんどなくなり、その代わり新会社がブランドを継承していた。
債務の返済を拒否するために、旧会社の資産を外出ししたと誤解し、新会社に対して法的アクションを取ってきたのだった。われわれも旧会社が債権者たちにそのような対応を取っているとは知らず、訴訟状を受け取り、非常に困惑した。
その中の1つの訴訟は、旧会社の代表個人に対する怨みを示唆する強烈な内容であったことは今でも忘れられない。
これらは、旧会社の誠実さに欠ける対応が原因だった。債権を返せないこと自体あってはならないと思うが、それ以上に誠実な説明や、謝罪が一切ないことは、人としてあってはならない。
 

破産手続き 

会社を破綻させるには、実は種類とステップがある。倒産手続は,破産手続・民事再生手続・会社更生手続・会社手続など倒産処理に関連する各種手続に分類される。
 
記憶に新しいJALの破産の場合は、会社更生手続きである。会社更生法1条によると、会社更生手続は「窮境にある株式会社について,更生計画の策定及びその遂行に関する手続を定めること等により,債権者,株主その他の利害関係人の利害を適切に調整し,もって当該株式会社の事業の維持更生を図る」ことを目的とする法的整理手続だ。倒産によって社会的に影響を及ぼすような大規模企業の経済的更生を目的とする手続である。
 
一方で、今回旧会社が取った方法は、旧会社は破産手続で倒産させ、その後、連帯保証を行っている旧会社の代表取締役が自己破産をするというものだった。
破産手続を開始するには、まず「債権者」「債務者」「法人の理事」「会社の取締役」「会社の業務執行社員」などが裁判所に対して、破産手続開始を申し立て(破産法18条、19条)、始めて破産手続きが開始される。
破産手続きが開始されれば、破産管財人という弁護士が認定され、この弁護士が倒産予定の会社の資産や負債、詐害性などを精査して、残った資産の分配を債権者に対して行う。詐害性があり倒産が悪質だと判断されると、自己破産できないケースもあるようだ。
しかし、その当時、旧会社に何が起きていたのかは不明だが、新会社引き継ぎから半年経ってもなお、旧会社は破産手続きを経ずに未だ存在していた。
旧会社がブランドを売却したことで得た現金がどの程度債務返済に充てられたのかは全くわからないが、現に訴訟を起こした複数の債権者への債務返済はなされていなかった。また、旧会社は破産手続きを行っていなかったため、そういった債権者への資産の分配も始まらない。債権者にしてみれば、何の説明もなく、期限を過ぎても多額の債権を回収できず、大きな怒りを覚えるのも無理はないのだった。
 
この後、弁護士とともにどう対応するか検討していくこととなる。
(C)2016 daikimatcha

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